介護の仕事では、高齢者の歩行や食事などの介助を行うことがあります。そのような介助作業の他にも、高齢者着替えを手伝ったり入浴や排せつの際に姿勢を整えるのも介護の仕事です。介護をする側も大変ですが、介護を受ける側の人も大きなストレスを感じているのです。
介助作業とはいえ、他人に体を触られたり着替えや排せつを見られるのは非常に恥ずかしいものです。また、本来は自分でできて当たり前の行為を他人に手伝ってもらう現状に苛立ちを感じる人は決して少数ではありません。それらの要因が重なり合うことで、高齢者は自分が介護の対象になっていることを嫌がってしまうのです。そのような状況において、高齢者の尊厳に配慮した介護を行うのは労わりと思いやりのある正しい接し方と言えます。
高齢者の尊厳を保つ介助作業を行うには介護士個人の努力だけではなく、介護施設の協力も不可欠です。要介護者が介助作業を受ける際は別室を利用したり、カーテンなどで目隠しを行うなどの工夫が求められます。また、介助作業をスムーズにできるようにするために技能講習を開催することも、施設側ができる取り組みです。高齢者の介助作業についてレクチャーする専門の指導員に協力を要請することも必要でしょう。
良質な介護を提供できるようにするための工夫は、介護施設側が本腰を入れて取り組む課題と言えます。高齢者の尊厳を守るには施設職員が個人のプライバシーを尊重することの重要性を理解することが大切なので、その点の教育にも力を入れる必要があるのです。